コラムChatGPT APIの使い方とは?料金や注意点、活用事例を紹介
ChatGPT APIの使い方とは?料金や注意点、活用事例を紹介
- 目次
1. ChatGPT APIとは?
「ChatGPT API」は、OpenAIがリリースした新しい自然言語処理AIモデル「ChatGPT」を活用できるようにするためのAPIです。このAPI(Application Programming Interface)は、様々なソフトウェアやWebサービス間の連携を可能にし、開発者が様々なアプリケーションやサービスでChatGPTを活用できるようになります。
もともとChatGPTは、ウェブブラウザを介してのみアクセス可能でした。しかし、ChatGPT APIでは、開発者がChatGPTの機能を自身のプロジェクトに組み込んで、効率的に多岐にわたるタスクを遂行することができるようになりました。これにより、独自のツール開発や業務プロセスの効率化が実現できます。
リリース当初は言語モデル「GPT-3.5-turbo」を採用していましたが、ChatGPT APIは最新のモデルである「GPT-4 Turbo」に対応(2024年1月30日現在)しており、これによってより高度な自然言語処理機能や画像処理機能を利用できるようになりました。 なお、「GPT-4 Turbo」はこれまでのChatGPTのモデルと比較して速度が向上し、学習データが2023年4月まで更新されています。現在はAPI経由での利用に限定されています。
2. ChatGPT APIは何ができるのか?
ChatGPT APIは様々な用途で利用できます。主に自然言語処理機能を活用し様々なタスクへの応用が可能です。以下の一覧はあくまで一例であり、自社の業務や必要性に応じて活用を進めると良いでしょう。
2-1. 利用用途の例
- 文章作成・要約・添削
- 翻訳
- プログラミングコード生成
- チャットボット開発(会話型エージェントの開発)
- デバック検証やエンジニアリング仕様書の確認
- 議事録作成
- 提案書や仕様書の叩き台作成
- 自動スケジューリング
2-2. 活用メリット
上記の用途例は、ChatGPTのブラウザやアプリでも活用できる機能です。これらのChatGPTで利用できる機能を、自社のアプリケーションに組み込むことができる点がChatGPT APIの大きな活用メリットです。
また、それにより顧客体験の向上や開発の効率化ができる点も非常に有益です。
顧客体験については、例えば、これまで人力で対応していたカスタマーサポートをChatGPT APIを活用したチャットbotに置き換えることで、24時間365日いつでも問い合わせ対応が可能になります。 開発の面では、従来のAI開発で必要な、データの収集や前処理などの工程にかかるコストを削減することができます。
3. ChatGPT APIの使い方
3-1. アカウント取得
まず、OpenAIアカウントの開設が必要です。サイト中央の「Get started」をクリックし、アカウント作成に進みます。
3-2. API key取得
続いて、サイトにログインしたらAPIキーを取得しましょう。APIキーを取得するためには「+Create new secret Key」と書かれたグレーのボタンをクリックします。
任意の名前を入力し、「Create secret key」を選択するとAPIキーが発行されます。この時、キーは一度だけしか表示されず、後から再度確認することはできないため、必ず保存しましょう。
3-3. API呼び出し方法
APIキーを使ったAPIの呼び出し方法はいくつかあり、アプリケーションや環境によって異なります。今回は、プログラミング言語Pythonを使った方法を紹介します。
Pythonを利用してAPIを呼び出す際、まずはPythonのプロジェクトに対してOpenAI APIクライアントのインストールが必要となります。Pythonのターミナルまたはコマンドプロンプトで、以下のコマンドを実行します。
[pip install openai]
続いて、環境変数にAPIキーをセットアップします。以下のコマンドにて、[your_api_key_here]の部分に、前の手順で生成したAPIキーを貼り付けてコマンドを実行します。
[os.environ[‘OPENAI_API_KEY’]=your_api_key_here]
APIキーの設定が完了したら、以下のコードでAPIを呼び出します。
[import openai
openai.api_key = os.environ[“OPENAI_API_KEY”]
prompt = “テキストを入力”
model = “text-davinci-002”
response = openai.Completion.create(
engine=model,
prompt=prompt,
max_tokens=5
)
print(response.choices[0].text)]
modelパラメータには、使用モデルの名前を、promptパラメータには、モデルに与える入力テキストを指定してください。
4. ChatGPT APIの利用料金
4-1. 料金形態
ChatGPTは無料または定額で利用できますが、ChatGPT APIは使用したトークン数に応じて課金される従量課金制です。
ChatGPT APIにおけるトークンとは、ChatGPTが処理するテキストを構成する最小の単位のことです。具体的には、日本語であれば単語や句読点、空白、漢字、ひらがな、カタカナなどがトークンとしてカウントされます。
ChatGPT APIでは利用するモデルに応じて従量課金の料金体系が異なります。また、トークン数は入力と出力の両方に対して課金されます。以下の表をご覧ください。
GPT-4 Turbo | GPT-4(32K版) | GPT-4(8K版) | |
入力にかかる金額 | 0.01ドル/1,000トークン | 0.06ドル/1,000トークン | 0.03ドル/1,000トークン |
出力にかかる金額 | 0.03ドル/1,000トークン | 0.12ドル/1,000トークン | 0.06ドル/1,000トークン |
現在はGPT-4 Turboが最も安価に利用できるモデルです。 ちなみに、GPT-4の32K版と8K版の違いは、32K版の方が、精度と処理能力が高く、より高度なタスクに対応できることが価格に反映されています。
スペックを比較しても、GPT-4turboは大幅に性能が向上しています。具体的には、アプリの関数呼び出し機能が可能なFunction Callingや、精密なコーディングを可能にするJSON modeなどをはじめとする7機能がアップデートされています。
5. ChatGPT APIを利用する上での注意点
ChatGPT APIは有料であっても、格安で利用できる点に魅力を感じる人は多いと思います。ただし、ChatGPT APIの料金体系や特性を理解せずに利用をし続けると、思わぬ高額料金を支払うことになりかねません。
5-1. トークン消費について
日本語でChatGPT APIを利用する場合に主な注意点は以下の二つです。
一つ目は、「過去のやり取りを全てmessagesパラメータにセットすると料金が高騰する」点です。用途次第では、過去のやり取りを踏まえた回答を必要とするケースもあると思いますので、注意が必要です。
二つ目は、日本語と英語でトークン数の計算方式が違う点です。英語では1つの単語で1トークンとされる一方、日本語ではひらがな1文字で1トークンとは限らず、英語に比べて課金体系が複雑です。日本語の場合、ひらがな1文字=1トークン以上、漢字1文字=2〜3トークンでカウントされるケースが多いため、消費量が増えてしまうことに注意しましょう。
トークンの消費数の計測には、OpenAIが公式に提供する無料ツール「Tokenizer(トークナイザー)」がおすすめです。
6. ChatGPT APIの活用事例
ChatGPT APIの登場は、多くのアプリケーションやツールとの連携を可能にしました。これにより、多くの業務やタスクが効率化され、新たな価値が生まれています。
では具体的に、どのようなツールと組み合わされ、どのような利便性が提供されているのか、事例をいくつか紹介します。
6-1. 業務効率化ツールとの連携事例
業務効率化のためのビジネスアプリケーションプラットフォームの一つであるkintoneでは、ChatGPT APIとの連携が可能です。
例えば、AIチャットbotの開発を目指すとします。kitoneアプリに既存のFAQデータを読み込み、ChatGPTと連携するサンプルプログラムを適用することで、手軽にチャットbotを構築することができます。このチャットbotは、FAQデータを元にした回答の生成や、自然なコミュニケーションで即時対応することが可能になります。
6-2. チャットツールとの連携事例
ビジネスチャットとして広く利用されているSlackも、ChatGPTとの連携が可能です。 社内の情報を蓄積したデータベースをもとに生成したbotを活用したり、振る舞い(人格や役割など)を設定することで社内チャットを盛り上げるマスコットのようなbotとして活用したりすることができます。
6-3. 自社サービスへの事例
自社開発のサービスにChatGPT APIを活用した事例として、言語学習プラットフォーム「Duolingo(デュオリンゴ)」が挙げられます。
AIチャットパートナー機能と、間違えた箇所の文法説明という2つの機能が、ユーザーの効率的な学習をサポートするアプリとして広く使われている当アプリでは、コーチング機能の開発にChatGPT APIを活用しGPT-4を使うことで実装までの期間を短縮しました。
7. まとめ
ChatGPT APIは2023年3月にリリースされて以降、様々なサービスやアプリケーションと連携されてきました。
トークン消費による従量課金であるため、日本語利用する際には費用対効果に注意しながら開発を進める必要がありますが、すでに社内で活用しているツールや、自社開発のサービスへの連携は事業拡大の大きなヒントになるでしょう。