ChatGPTは、まるで人間のように自然な文章で対話できるAIチャットサービスです。従来のコンピューターは人間の言葉を理解できず、活用範囲も限定されていました。しかし、その後の技術革新により、ChatGPTでは人間の文章を理解できるようになり、質問に対して的確な答えを返すことができます。さらに世界中に散らばる膨大な情報を学習し、さまざまなジャンルについて幅広く回答できるため、世界中で注目を集めています。そこで今回はChatGPTの概要や始め方、使い方や問題点を徹底解説します。

1. ChatGPTとは何？

ChatGPT（チャットジーピーティー）とは、アメリカの人工知能研究所「OpenAI（オープンエーアイ）」が開発したAIチャットサービスです。ユーザーが入力した質問内容を理解し、まるで人間が書いたかのような自然な文章で回答を返します。世界中に散らばる膨大な情報を学習しており、たとえば今日の天気やおすすめの映画、文章の要約や翻訳、小説・歌詞の作成、プログラムのコーディングなど幅広いジャンルに対応しています。

2022年11月に一般ユーザー向けに公開されると、たった2ヶ月でユーザー数1億人を突破し、世界中で話題となっています。ChatGPTは将来的に既存の検索エンジンに取って変わる可能性を秘めており、検索エンジン大手のGoogleは対抗する形で会話型AI「Bard」を発表しました。今後もAIを巡る開発競争はますます加熱し、進化を遂げていくと見られています。

2. ChatGPTの始め方

ChatGPTの始め方は非常に簡単で、公式サイトでアカウントを作成し、ログインすれば使用可能となります。以下、詳しい手順を記載します。

1. ChatGPTの公式サイトにアクセスする
2. 「Try ChatGPT」からログイン画面に遷移する
3. 「Sign up」を選択する（※既にアカウント作成済みの場合は「Log in」を選択すればすぐに使用可能）
4. 「メールアドレスとパスワード」または「Google/Microsoftアカウント」を入力してアカウントを作成する
5. OpenAIから登録したメールアドレス宛にメールが届く
6. メール本文に記載された「Verify email address」から登録画面に遷移する
7. 「名前」と「電話番号」を入力し、ショートメールで送られる「6桁の認証コード」を入力すると登録が完了する
8. ログイン後の画面に遷移し、ChatGPTが使用可能になります

3. ChatGPTの使い方や活用事例

ChatGPTはアカウント作成後にログインすると、以下の画面が表示されます。

画面下のテキストボックスに質問内容を入力して送信すると、質問内容に応じた回答が返ってきます。

3-1 自然な会話や相談

ChatGPTはテキストベースでの会話や相談が可能です。こちらの質問に対して、まるで人間が書いたかのような自然な文章で回答が返ってきます。

たとえば、以下は「男女の仲を深める会話は？」という相談内容を入力した際の回答です。

3-2 Excelの関数・プログラミング言語の記述

ChatGPTは通常の会話だけでなく、Excelの関数・プログラミング言語の記述も可能です。

たとえば、「今日の運勢をランダムで出力できるプログラムをc#で記述して。」と入力すると、実際のコードが返ってきました。

上記のプログラムを実際に実行すると、以下の通り「今日の運勢」が表示されました。

3-3 検索の代行

ChatGPTはGoogleを始めとする検索エンジンの代行も可能で、検索エンジンを使用しなくても知りたい内容を代わりに調べて教えてくれます。

たとえば、「豚肉と牛肉のカロリーをそれぞれ教えてください。」と入力すると、あなたの代わりにChatGPTが調べて答えを返してくれました。

3-4 小説や脚本などの執筆

ChatGPTは、小説や脚本などの執筆も得意です。

たとえば、「芥川賞を受賞できるサスペンス小説の脚本を考えてください。」と入力すると、以下の通りオリジナルの小説を作ってくれます。

4. ChatGPTの問題点

一見便利なChatGPTですが、いくつかの問題点も指摘されています。

4-1 回答が間違っていることもある

ChatGPTの問題点として、質問に対する回答が間違っている可能性があります。たとえば、2023年3月時点で「現在の日本の総理大臣は誰？」と質問すると「菅義偉」と回答されますが、正しくは「岸田文雄」です。

主な理由としては以下が挙げられます。

• 情報が古いから（※2023年8月時点で「私の知識は2021年9月までのもの」と回答される）
• 現在の技術では人間の言葉（自然言語）を完全に理解できないから
• 情報を取得する中で間違った情報を参照してしまうケースがあるから

4-2 AIに仕事を奪われて失業が蔓延する恐れがある

人工知能(AI)の進化によって人間の言葉を理解できるようになり、これまで人間が行っていた業務の一部を代替できるようになりました。その結果、業務の生産性が上がる一方で、「人工知能(AI)に雇用を奪われ、失業社が増えるのでは？」という懸念の声も挙がっています。

総務省の発表資料によると、有識者から以下の指摘が挙げられています。

技術革新に伴って、それに関連する雇用が失われるのは時代の常で今に始まったことではない。

出展：人工知能（AI）の進化が雇用等に与える影響（総務省）

以下は、人工知能(AI)の進化によって「仕事を奪われる可能性が高い」とされている主な職種です。

• 一般事務員
• コンビニやスーパーの店員
• タクシーや鉄道の運転手
• ホテルのフロントマン
• 銀行員
• 飲食店のウエイター
• 警備員

など

4-3 サイバー犯罪者などに悪用される懸念がある

進化した人工知能(AI)が犯罪者に悪用されることで、サイバー犯罪がこれまでより容易に起こる危険性が懸念されています。

人工知能(AI)の犯罪行為への具体的な転用例として、以下が挙げられます。

• フィッシングメールの作成代行
• データの盗難代行
• ボットネットやマルウェアなど悪意あるコードの作成代行

5. ChatGPTに関するよくある質問

ここでは、ChatGPTに関するよくある質問に回答します。

5-1 ChatGPTは無料で利用できる？

はい、ChatGPTは無料で利用できます。ChatGPTは当初、無料のトライアルプランを発表し、その後に月額20ドルのサブスクリプションプラン｢ChatGPT Plus｣をリリースしました。2023年8月現在、トライアルプランも継続して無料で利用可能です。

5-2 ChatGPTは日本語で利用できる？

はい、ChatGPTは日本語で利用できます。言語を選択する項目はありませんが、日本語での質問には日本語で、英語での質問には英語で回答が返ってきます。

5-3 ChatGPTはGoogleの代わりになる？

ChatGPTは人間の言葉を理解し、AIと対話できるチャットサービスであるため、Googleを始めとする検索エンジンと完全に置き換えることはできません。また現時点では、ChatGPTは「情報の正確性」などの面で課題を抱えており、実用化できる範囲も限られます。

ただし、世界中の情報を学習し、質問に対して的確な回答が可能であるChatGPTは、将来的に検索エンジンのシェアの大部分を奪う可能性を秘めています。実際にGoogleではChatGPT公開後に社内に向けて「Code Red（非常事態）」を宣言し、危機感を強めています。

6. まとめ：ChatGPTがもたらす未来

ChatGPTの登場によって専門知識が必要だったコンピューターとの意思疎通が容易になり、コンピューターの力をこれまで以上に引き出せるようになりました。世界中のあらゆる情報を学習し、まるで人間のように対話が可能なChatGPTは、今後世界中で人々の行動やビジネスモデルを大きく変える可能性を秘めています。ビジネス面においては業務の効率化や人材不足の解消が期待されており、特に少子高齢化で人口減少が進む日本においては救世主と呼べる存在になるかもしれません。

ただし、プラスの面ばかりではなく、「回答の正確性に欠ける」「AIに仕事を奪われる」といった課題も見えてきています。2023年1月、アメリカのマイクロソフト社はChatGPTを提供するOpenAIに対し、1兆円規模の投資を行うことを発表しました。世界が注目する中で、開発競争が白熱する人工知能(AI)は、今後どんな未来をもたらしてくれるのでしょうか。